大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(行ナ)52号 判決

その成立に争のない甲第一号証、第二号証の一、二によれば、原告の権利に属する登録第三九〇三四九号商標は、別紙表示のように「丸鶴」の文字を縦書にして構成されたものであり、また審決が引用した登録商標のうち登録第七三七八九号商標は、黄色の横長方形廓紙の内縁にそつて赤色で同形の横長方形枠を設け、枠内の地を黒とし、更に枠内にリボン様のものでほゞ楕円形の輪廓を施し、その輪廓内に赤色平行細線を多数引いて地となし、その中央に、首をやや左に向けて正面に向つた丹頂鶴が、両翼を開いて左右から上方へ上げ、両翼の先端が殆んど触れる位に接近し、全体として円形となるようにしたものを描き、なお右鶴の図形の左右両側から下方にかけて雲の模様で囲み、鶴の頂部を赤色とし、外郭の黒色部分中左上、右上、左下、右下にそれぞれ「BEST」「MATCH」「MADEIN」「JAPAN」の文字を抜き出して書き、また内部楕円形輪廓内図形の左上、右上に黒色でそれぞれ「TRADE」「MARK」の文字を記載して構成されており、同じく登録第八七九六四号商標は、中央部における鶴と雲との図形は全体がやゝ丸味を帯びている以外は、登録第七三八七九号商標と同一であるが、地の色記載の文字を異にし、すなわち赤色の横長方形廓紙の内縁にそつて白色の横長方形枠を設け、枠内の図形部分を白抜にし、更に図形部分の左右両端に黒色の短冊形の縦長方形を設け、左の部分に「徳用燐寸」右の部分に「上等細軸」の文字を白抜で縦書にして構成されているものであることが、それぞれ認められる。右認定するところに従つて、原告の権利に属する本件登録商標と、審決の引用した被告の登録商標とを比較するに、両商標がその外観において相違することはいうをまたない。しかしながらその称呼についてみるに、原告の登録商標が「マルツル」又は「マルヅル」と呼ばれるものであることは疑のないところであるが、被告の前記両登録商標とも、その構成上、丹頂鶴が最も顕著に描かれてあつて人目を引き、かつその形状が全体として円形となるように描かれてあるため、一般世人がこれを一見した場合「マルツル」又は「マルヅル」と呼ぶのが最も自然であると解せられる。原告は、引用商標は前記の構成からみて、これより自然に生ずる称呼は、「ウンカク」又は「クモヅル」であつて、原告の登録商標とその称呼を異にすると主張するが、引用商標から原告主張のとおり「ウンカク」又は「クモヅル」の称呼が生ずるとしても、そのことが前記のとおり、これから「マルツル」「マルヅル」の称呼を生ずること妨げるものではなく、また原告は引用商標が沿革上一般世人から「クモヅル」とのみ称呼され、その経過からみて同商標の称呼が「クモヅル」であつて、「マルツル」又は「マルヅル」でないと主張するけれども、本件にあらわれたすべての資料によつては未だ右「クモヅル」の称呼が慣用された等の結果、同商標が一般世人から他の称呼を以て呼ばれることが絶対にないほどの事態にあることは認めがたく、たとえ原告主張のように、従来引用商標が「クモヅル」と称呼されて来たとしても、同商標が前記のとおり「マルツル」又は「マルヅル」と称呼されないものとはなし難く、従つて原告の右主張はいずれも認容することができない。以上の理由により原告の本件登録商標と被告の両登録商標は、その称呼を同一にするものであるから、互に類似せるものというべく、しかも被告の両登録商標が、いずれも原告の本件登録商標の登録出願前に登録され現に更新登録がなされており、その指定商品がいずれも同一のものであることは弁論の全趣旨によりこれを認めるに十分であるから、原告の本件商標の登録は、他の争点に対する判断をまつまでもなく、商標法第二条第一項第九号の規定に違反してなされ、同法第十六条第一項第一号の規定により無効とすべきものといわなければならない。

〔編註〕 本件に関する商標は左のとおりである。

<省略>

登録第390349号商標

<省略>

引用の登録第73789号商標

<省略>

引用の登録第87964号商標

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